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【琵琶湖の藻刈り(水草)問題】滋賀県よ、何故そこに金をかける?

      2019/04/09

どーも。ykです。

今回は、たびたび「琵琶湖でバス釣りをするバサー達の話題となる藻刈り」についてを書いてみます。

ただのヘタレブロガーが、ちょっとビビリながら滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんに問合せをし、非常に誠実に対応して頂けましたので、それをそのまま記事にします。

 

目的とアプローチについて

目的

他府県から遊びに来られた方々が落としていったお金、あるいは住民から集めた税金、その一部を利用して「藻刈り」という仕事を作り、琵琶湖で漁業を営む方々へ利益が還元されてます。

バス釣りをする人たちからしたら「藻刈りに何の意味があるんだ?バスが釣れなくなるだけだから止めてくれ。」といった意見をお持ちの方も多いでしょう。いや、大半がそうかもしれませんね。

僕もそう思ってたし。

で、琵琶湖でバス釣りをするため藻刈りのスケジュールを調べる為、WEBをあちこち検索してたときにたまたま目に付いた言葉がありました。

かつて、琵琶湖の水草は、農地への肥料や土壌改良材として利用されていた。
その歴史は古く、万葉集にも「玉藻刈る」という言葉が出てきており、「玉藻刈る」とは、藻取りのことであると考えられている。その後、古今和歌集などにもずっと見られることから、刈り取った藻は肥料に利用したと推測されている。
江戸時代には、水草採取の権利を巡って各地で藻取り紛争が起きており、数多くの文書が残されている。

といったものです。

「農地への肥料や土壌改良材として利用?、有効利用する道だってあるんじゃん。」そう思うのは、わりかし自然かなと思います。

釣り人からしたら、何のためにやってるかわからない、税金の無駄に見えてしまう藻刈りでも、何かしら良いこともあるなら、それらも知った上で「賛成」or「反対」を考えるべきじゃないか?と思ったわけです。

アプローチ

本来、皆さんが気になるところとしては「藻刈りをしたことによる琵琶湖の水への効果がどれほど出てるのか」を調べるべきと思いました。

が、実際それを調べてわかりました。

生物学や水質調査に詳しい人向けのレポートは多々ありましたが、読んでも素人では意味不明です(笑)

天才と名高い僕でさえ、紙一重で意味不明という始末です。

ということで、もっとわかりやすいところからのアプローチが必要であると判断し、藻刈りされた水草がどれだけ有効に活用されてるか?についてを調べ、わかりやすくまとめる事にしようと考えました。

思い立ったら即行動で名高いykですので、即座に滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんへ問合せをしてみました。

んで、やり取りが長くなってしまったので滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんからの返答を先に総括します。

 

障害と対する取り組み

水草が多く繁殖してしまうことでの障害

漁業障害

漁業操業への障害
・水草が異常繁茂すると漁船の航行に支障をきたす(夏季)
・エビタツベや刺網、貝曳き網が操業できない(夏季)
・漂流した水草はエリや刺網等に付着し、著しい障害となっている(~秋季)

漁場の減少(貝類)
・枯死した水草が堆積した水域では、セタシジミ、ドブガイ等の貝類が生息しにくい環境にある(周年)
・水草が障害となって、貝曳き網漁業自体が操業できない(周年)

生活への悪影響

臭気の発生
・漂着した水草の腐敗により悪臭が発生する

湖沼環境への悪影響

湖底直上の溶存酸素濃度(DO)の低下
・水草の現存量が大きな場所では、しばしば底層付近の溶存酸素濃度が低下する

生態系への影響

・繁茂しすぎた水草は、ブルーギル等の外来魚の優占に寄与する一方、在来魚の個体数を減少させているおそれがある。
セタシジミ、ドブガイ等の二枚貝類については湖底環境の悪化(泥化、貧酸素化)や植物プランクトンの減少によるエサ不足によって、個体数が減少していると考えられる。
このように、琵琶湖南湖の生態系は大きく変化し、在来生物の多様性に深刻な影響を及ぼしている可能性がある。

とまあ、上げたらキリがないほどネガはありますね。

水草を取り除いて、どう活用する?

冒頭でも少し触れましたが、除去した水草は堆肥として有効活用ができます。
以下は滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんからの回答を簡単にまとめたものです。

 

水草から作った肥料の生産量

水草の肥料は、平成28年度には641t、平成29年度には592tが生産され、ほとんどが県民の方に無料配布された。

県内で生産された「特殊肥料」のうち、水草の肥料が占める割合は平成28、29年度ともに、約1%であり、水草の肥料が農業等に利用されている量はまだまだ少ないのが現状かと考えている。

平成29年度に水草の刈取除去したものから取り除いたゴミの量は、3.7tでそのうち2.2tがプラスチック、1.2tががれき類(瓦や陶器片など)、その他は金属くずや木くずなどでした。

ゴミを完全に除去することは難しく、取りきれなかったゴミが混ざっていることを了解の上、県民の方へ水草の肥料を配布しています。

 

無料配布のアンケート結果の集計

Q4 成長はどうでしたか
特に良かった→15.5%
良かった→60.9%

Q5 収穫量はどうでしたか
非常に多い→9.9%
多い→48.7%

Q8 また利用したいですか
ぜひ利用したい→75.3%
機会があれば利用したい→23.3%

ということで、yk的な感覚の話になりますが、堆肥めっちゃ作ってるし、ほぼ全部無駄なく使われてますやん!しかも、農家さんから好評じゃないですか!という印象を受けました。

 

問合せ開始から返答まで

以下はブログ主ykと滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんとのやり取りです。

4/26 19:51 ykより発信

はじめまして。

他府県より大津市に移住させてもらい、趣味であるバス釣りを題材にブログを書いてます○○(ykの本名です)と申します。

https://biwako-bass.com

この度、お忙しい中とは思いますが「水草除去」について、ブログでの記事にしたく、いくつか教えていただきたいことがあり、メールをさせていただきました。

・ブログ記事を書くにあたっての目的
琵琶湖でバス釣りをして、ブログを書いたりSNSを利用していると、他府県のバサーの方とも交流ができます。
また、琵琶湖を利用してバス釣りをするたくさんの人が当ブログを見に来てくれてます。

ゴミ問題やマナー問題など、同じバサーとして、ブログという媒体を通して、何か私に出来ることがないかと考えてます。

さて、バサーのほとんどのは「藻刈り」に対し否定的な意見を持っており、滋賀に住む住人の一人としては、いつも悲しい思いをしております。
バサーが否定的になる理由の大半は「バスが釣れなくなるから」という考えであり、「税金の無駄」と考える人が多く、藻刈りについてのちゃんとした知識を持ってる人は少ないです。
私もその一人です。
否定するにも、肯定するにも、ちゃんとした知識が必要と考え、今回はいくつか教えていただきたいことがあり、メール致しました。

そして、ブログ記事を公開し、読みに来てくれたバサーの方々には、「否定的な意見を持つ前に、まずは知識をつけ理解してから、否定なり、肯定なりして欲しい」ということを書きたいと考えてます。

・知りたいこと
外来種である水草や、異常繁殖した水草を除去して、琵琶湖の環境改善を目的としてることはホームページ等で読ませていただきました。
それに伴い、湖底では貝類の復活が見られ、回復傾向にあると言う事も読ませていただきました。
これについてはそのまま記事に書かせていただこうと考えてます。

そして、滋賀県の狙いとして「除去した水草を農業用の肥料とし、田畑から琵琶湖へと流れ出る窒素やリンが、また琵琶湖内の水草を育て、それをまた肥料として循環をはかりたい」というのがあるのかなと感じてます。
これは個人的に感じたという意見です。
そして、化学肥料に頼らず、もし循環が上手くいくなら、これは素晴らしいことだと感じてます。

これについて、質問です。

実際、役場の外部からでは上記の取り組みが、どの程度まで浸透し、農業に活かされてるかが不透明なのです。
いくつかイベント等で広める活動をされてることも調べさせていただきわかりました。
そこで、実際にどれほど水草除去で作られた肥料が利用され、循環の一助になっているのかを知りたいと考えてます。
農家の方が利用する肥料が、大半は化学肥料だろうなということは想像がつきますが、どの程度、水草の肥料が利用されてるか数値化されたものがあれば教えていただきたいと思っております。

また、釣り人や琵琶湖をレジャーで利用する方々に対し、水草から「釣り糸」や「ペットボトル」などのゴミの除去が大変であることも、合わせて書き、利用者に対してマナー啓発等も織り込みたいと考えてますので、このゴミに関しても数値化されたものがあれば、教えていただきたいと思っております。

長々と書きましたが、暇なときで結構ですので、お返事いただけましたら幸いです。
また、もし、滋賀県として「こういったことを広めていきたい」といった展望のようなものがありましたら、教えていただければ幸いです。

 

4/27 11:38滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんより返答

いつもお世話になっております。
滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課の□□と申します。
水草対策について担当しています。

滋賀県で取り組んでいる水草除去について、お問い合わせいただきありがとうございます。

水草の刈取りに関して、バス釣りをされる方の中に否定的な意見を持っておられる方がいらっしゃることは存じています。
県としても、バス釣りをされる方を含めて、県民の方や琵琶湖を利用される方の理解を得て、水草対策を進めていきたいと考えています。

問い合わせいただいた内容については、少し時間をいただき、調べてからお返事したいと考えています。
また改めてメールしますのでしばらくお待ちください。

よろしくお願いいたします。

 

4/27 12:25 ykより再発信&質問追加

早速のお返事ありがとうございます。

「お役所仕事」という言葉があるくらいですので、ご担当である□□様のレスポンスの早さに、失礼ながら少なからず驚き、また、非常に好感を持ってます。

お忙しい中でのご対応ありがとうございます。
また、追加の注文をして大変失礼であり、申し訳ないのですが、「水草肥料の無料配布」をされ、農家の方からアンケートを取っているという記事を見ました。
もし可能なのであればアンケート結果の集計なども合わせていただけるとありがたく思います。

お返事の方は急ぎませんので、お暇なときで結構ですので、何卒よろしくお願い致します。

 

5/17 17:37滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんより回答

いつもお世話になっております。
滋賀県琵琶湖政策課の□□です。
先日、お問い合わせいただきました滋賀県で行っている水草対策と有効利用に関して、遅くなりましたがお答えします。

①水草の肥料がどの程度利用されているか
お調べしたのですが、農業や家庭菜園、園芸を含めて、県内でどれくらい肥料が利用されているかの統計的な数字がなく、県内の肥料利用に対して水草肥料の割合がどの程度かはわかりませんでした。
数字としてお示しできるものは、肥料の生産量です(使用量ではありません)。
水草の肥料は、平成28年度には641t、平成29年度には592tが生産され、ほとんどが県民の方に無料配布されました。

肥料の分類上、水草の肥料は「特殊肥料」のうち「堆肥(たいひ)」にあたります(肥料の分類については「独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)」のページ(http://www.famic.go.jp/ffis/fert/sub2_1st/1_3.htm)に載っています)。
県内で生産された「特殊肥料」のうち、水草の肥料が占める割合は平成28、29年度ともに、約1%です。
肥料は県内外を問わず広く流通し、はっきりとはわかりませんが、水草の肥料が農業等に利用されている量はまだまだ少ないのが現状かと考えています。

②水草からのごみ除去についての数値化されたもの
平成29年度に水草の刈取除去したものから取り除いたゴミの量は、3.7tでそのうち2.2tがプラスチック、1.2tががれき類(瓦や陶器片など)、その他は金属くずや木くずなどでした。
刈取除去した直後の水を含んだ水草の重量が約7,000tで、水がある程度抜けると半分程度になり、刈取除去した水草のうち重量で約0.1%がゴミだったことになります。
ゴミを完全に除去することは難しく、取りきれなかったゴミが混ざっていることを了解の上、県民の方へ水草の肥料を配布しています。

③水草肥料(堆肥)の無料配布のアンケート結果の集計
アンケートの集計結果は、公益財団法人淡海環境保全財団の以下のページ、「モニター結果について」に載っています。
https://www.ohmi.or.jp/environment/water-grass/

「Q8 また利用したいですか」の回答として、「ぜひ利用したい」と「機会があれば利用したい」の合計が99%であり、好評をいただいている結果となっています。

水草の大量繁茂による悪影響としては、漁業障害や船舶の航行障害、生活や湖沼環境への悪影響などがあり、大きな問題となっています(「水草繁茂に係る要因分析等検討会 検討のまとめ」P5参照http://www.pref.shiga.lg.jp/d/biwako/files/kentoumatome.pdf)。
これらを解決するために滋賀県では試験研究機関を含めて、様々な部局が水草対策を行っているところです。

○○様のブログでの発信が、バス釣りをされている方の水草対策への理解につながればと思っています。

不明な点等ありましたらご連絡ください。

よろしくお願いいたします。

 

まとめ

上記やり取りをして思ったこととして、やっぱり税金を使って行う事業ですので、滋賀県琵琶湖環境部琵琶湖政策課さんの「バス釣りをされている方の水草対策への理解につながれば」という思いを強く感じました。

これを見た皆さんも、この記事だけで「賛成」や「反対」といった意見にはならないでしょう。

が、少し調べただけ、ほんの1通メール送っただけで、これだけ情報が出てきます。

簡単に「釣れなくなるから反対」というのも、こうして見えないところで頑張ってる職員さんに対し失礼があるかなと思います。

僕も情報を発信する立場のブロガーですので、「釣れた」「釣れなかった」だけではなく、こういったことを紹介する機会をもっと増やしたいなと感じました。

 

 - バス釣りテクニック

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